本(TAB譜付)+CD 10曲、88ページ
第4弾となる今回は、個々のソロのアプローチにはコンテンポラリーなものもありますが、トータルなイメージとしてはハードバップという感じですね。ジャズを始めて間もない人にはちょっと難しい曲が多いかもしれませんが、その気になれば勉強する材料はもういっぱいありますよ。
@Bruce Arnold: A Few Dozen
通常の3度3度ではなく、変則的なインターヴァルによるトライアドのハーモニーを利用したウルトラ・モダン系の楽曲。こういう曲では音数は抑え目にしてラインやフレーズの面白さを優先するのがよいのかも。
ASheryl Bailey: Old and Young Blues
リチャード・ボナとも共演する女流ギタリスト。たいていの女性ギタリストがそうであるように、ピッキングがやや弱めの感はありますし、圧倒的なテクニックのようなものはありませんが、歌心のあるとてもよいソロで気に入りました。オルガン・トリオでの演奏。
BMark Boling: William's Sunny Spring
ピアノを加えたクァルテットによるバップ・ナンバー。ソロは8分音符の流れを大切に組み立てられていますが、ところどころでこれを打破するところなど、特にビギナーには参考になるのではないでしょうか。3連の連続のリックは誰にもおもしろい材料です。
CSteve Cardenas: Sights
途中4拍子から3拍子に変わる箇所がある曲で、ギター・トリオ+サックスによる演奏です。ずっとモティーフを使って展開していくソロは、熱くなりすぎないようにいくらか抑えを効かせながらという印象がありますが、ニュー・スクールの講師でもあり、かなりスキルの高そうな感じは伺えます。
DCorey Christiansen: Roads
メルベイ・レコードから発売されている彼のアルバムAwakening からの1曲です。いやー、コーリーったらすっかりモダン・ジャズ・ギタリストになってしまいましたね。ジャズ・ギターを学んでいる人には手頃なよい材料がいっぱい見つかるでしょう。ちょっと私の師匠のS氏に似たフレージングもありますね。
EVic Juris: 889
今回のメンバーでは一番有名なプレイヤーでしょうね。快調なアップテンポのバップ・ナンバーです。ジュリスのファンには見逃せない材料かと思います。ヴァイブが加わったクァルテット。
FLarry Koonse: Angeles Crest
現在30代半ばですが、すでに多くの著名なアーティストと共演、世界中をツアーしており、(単なる肩書きの上だけではなく)プロとして豊富な経験を積んでいるためか、貫禄を感じさせるような堂々とした演奏ぶりです。ピアノを含むクァルテット。
GBruce Saunders: Blues or Not
ギター・トリオによるFのブルース。これまた弾いてみるに値する、最初から最後まで勉強材料になるとてもよい演奏です。こういう人が教えている現在のバークリーのギター科はとても充実しているということ?
HJohn Stowell: One City Day
ナイロン弦でソロ・ギターの演奏です。指弾きではなくすべてピックで弾いているようです。彼の曲の中では取り組みやすいほうだと思われ、ファンの方はぜひチャレンジしてみましょう。
IAnthony Wilson: Time Flies
それほど日本で頻繁に露出している印象はないのですが、今後のジャズ・ギター界を代表するような存在になるかもしれません。問題は人気に結びつくかどうかですが、ダイアナ・クラールのパリでのライブに参加していたり、R&Bやポップ系の歌手のバックもやっているようなので、硬軟とらわれずに対応できると思われ、期待したいところです。ここではオルガン・トリオでの演奏ですが、テクニックはスーパー級だし、ソロの語法のオリジナリティーもあり、作曲の能力も高そうということで。