本(TAB譜付)+CD 著者: Jim Ferguson 92ページ
comping styles, chords & grooves
著者のジム・ファーガソンは、GuitarPlayer誌のエディターを長く務め、特にジャズやクラシック系のギター・アルバムのライナーノーツなどもよく書いている人。
本書は彼自身による出版でメルベイ社がディストリビュートするシリーズの第一作にあたり、ジャズ・ビギナーから利用できる誰にもわかりやすい明快なメソッドを提供しています。
コンピングを主体にした内容で、最もシンプルなブルース形式から、理論的に、また技法的に、コードの動きに変化をもたせたよりジャズらしいブルースへと発展させていきます。
たとえば日本語版でおなじみの「ジョー・パス/ジャズ・ギター教本」(エーティーエヌ刊)などと同系統の本ですが、FとB♭を中心に、G、C、E♭と、より多くのキーで練習するのと、時代を追うように様々なスタイルを紹介する形がとられている点が特徴です。
3音ヴォイシングによるフレディー・グリーンやハーブ・エリス・タイプから始まって、徐々にコード・チェンジやヴォイシングの動きを増やし、テンションを加えた4声のヴォイシングによるチャールストン・ビートや、リフによるパターン、ケニー・バレル、ジョージ・バーンズ、バーニー・ケッセルのスタイル、よりヴォイス・リーディングの要素が強いビバップ的リニア・コンピング。タル・ファロウ、2人のジョー(パス&ディオリオ)、ミック・グッドリック、パット・メセニー風。さらにモーダル・コンピング、最後はお決まりのウォーキング・ベース・スタイルと展開します。
良書ではありますが真髄の域まで到達しようというようなものでもありません。
一冊にあまり多くを求めるのではなく、ジャズ・ギターの入門書のひとつと捉えてご利用されるのに適しています。
CDの演奏はすべてギター1本で行われているのですが、いくつかの例題をトリオかカルテット形式にするだけで、よりアンサンブルの中でのコンピングという雰囲気が出せてよかったろうと思います。