本(TAB譜付)+CD 著者: Randy Johnston 64ページ
ランディー・ジョンストンはビッグ・ネームではありませんが、中堅どころでよく活躍しており色々なところで名前を見かけることができます。彼がどんなプレイヤーかを確かめたい人でMaster Anthology of Jazz Guitar Solos vol.2 を持っている方は、Pat+Wes という曲が入っているので聴き直していただくと本書に通じる印象を得ることができます。
本書はランディーのオリジナルを含め、スタンダード曲で用いられるコード進行によるソロのコレクションです。単なる採譜ものではなく、ちゃんと教材となることを意識して製作されプレイされたものです。詳しくは以下の序文の翻訳をお読みいただくとして、出版社側の中級者を対象としたソロ教材という注文にランディーはよく応え、すばらしい材料を提供しています。これが弾きこなせればもう上級者と威張っても誰も文句は言わないでしょう。
タイトルのSoulJazz Guitarは模範演奏がオルガン・ジャズ・トリオでプレイされていること、ランディーのプレイにかなり黒っぽい雰囲気があることからの連想で付けられたと思うのですが、スタンダード・ナンバーをメインストリーム系のスタイルでプレイをする際に広く応用できる内容なのでタイトルにとらわる必要はありません。CDは言わばギター・ソロの部分だけなので、観賞用ととらえると少し短く感じられるのが残念ですが、それだけいい演奏ということでもあります。学習用にはちょうど手頃かつ十分な量だと言えるでしょう。なかなか得難い材料であり大推薦しちゃいましょう。
収録曲:
* It Could Happen to Me
* Killer Jane
* Medium Tempo Blues
* Minor Blues
* The Philadelphians
* Polkadots
* Rolling at the Summit
* Slow Blues
* Soul Air
* Speak High
* Tune Down
* Down Time
Editor CoreyChristiansen による序文より
本書Soul Jazz Guitar は、特に中級の学習者のために用意されたランディー・ジョンストンの曲とソロのコレクションです。単に彼のCDからソロを採譜したというものではなく、学習者の利便を念頭に置き、ちょうど手頃なテンポを意識して演奏してあります。
"Downtime" "The Philadelphians" "Rolling at the Summit" は、一般に発売されている彼のCDにも入っていますが、ここに収録されているのは、このプロジェクトのために新しく録音された、まったく独自のバージョンです。また、おなじみのスタンダード曲の進行を用いたインプロヴィゼイションも収録しています。ジャムセッションなどでこれらの曲をやることになった時に役立つことでしょう。
ソロの学習を容易にするために、ランディーはできる限り明確かつ忠実なジャズ言語を用いるよう心がけました。このことによって、学習者がマネをするだけに終わるのではなく、これらの進行に対するあなた自身のアプローチを発展させることをランディーは望んでいるのです。それは、ランディー自身が、長年にわたってお手本となる演奏を聞くことにより自らのアプローチを開拓してきたのとちょうど同じようにです。
ランディーのギターは、そのすばらしいライン、ごきげんなフィール、優れたテクニックで知られています。こうした理由から、我々はランディーに、たくさんの曲の演奏し、ジャズ・スタンダードで用いられるコード進行上でインプロヴァイズしたソロをレコーディングしてくれるよう依頼しました。そしてそこでは、一般的なジャズ言語を利用すること、ごきげんなフィールを示すことに加え、学習者にとって十分弾ける範囲のものという注文を出しました。
採譜されたソロを学ぶという作業は、多くの場合、対象となるジャズ・ソロのレベルが高すぎるため、気力がくじかれてしまうということが少なくありません。ランディーにはフィンガーボードが燃え立つほど弾きまくる能力があるのですが(実際にしばしば彼はやるのですが)、ここでのレコーディングでは学習者のことを第一に考えており、たとえいくらか困難を伴うものであっても、弾きこなすことはゴールとして可能な範囲でしょう。
学習者は、これらのソロをたくさんの異なる方法で利用することができます。まず最初は、ソロに出てくる音をひとつひとつ学び、CDに合わせて弾いてみます。これによりジャズ・フレージング、アーティキュレーション、フィールについてより深い理解を得ることができます。
第2に、コード・チェンジに対してメロディックなソロを展開している場合に、それぞれのコード進行に対して、どのようにアプローチしているのか分析してみましょう。この場合、ジャズ言語の各要素に注目します。例えばエンクロウジャー、テンションとリリースの妙味、アルペジオ、面白いリズム、そしてとても重要なことですが空間を設けるということです(ホーン・プレイヤーと同じように、ギタリストもソロの中で息継ぎをすることが必要です)。
これらを認識しておくことで、あなたのソロにおいても適用しやすくしてくれるでしょう。
最後に、あなたが本当にいいなと思ったラインやリックを抜き出して、12のキーに置き換え、できるだけ多くの異なったポジションと弦の組合せで弾いてみましょう。これはヴォキャブラリーを開発するすばらしい方法です。さらにあなたが学んだラインを、いろいろな曲の同じコード進行(U-X、ターンアラウンド、その他)で使ってみましょう。
何よりも、本書で学びながら楽しんでください。