本(TAB譜付)+CD 著者: David Grissom 56ページ
かつて「ブルース/ロック・ギター・ソロ虎の巻」のタイトルで日本語版も発売されていた本です。
意外と知られていないと思うのですが、私はたいへん評価しておりブルース・ギター教則本の歴代ベスト10ぐらいには十分入るのではないかと考えています。
何がいいと言ってまずプレイヤーのうまさが違いますわ。そんじょそこらのライターとは出てくる音もフィールも比べ物になりません(もっぱらライターとして活躍している人はそれはそれで役目があって私は評価しますけど)。
デヴィッド・グリソムは大ざっぱにはテキサス系のブルース・ロック(出身はケンタッキー)に分類されるプレイヤーだと思いますが、本書に記述の回想やレッスンのチャプターにもあるようにジャズ、カントリー、ブルーグラスなどからも影響を受けているそうで、そこが本書を特別なものにしていると言ってもよいでしょう。
これまでにJohn Mellencamp, Joe Ely, the Allman Brothers Band, Chris Isaak, Buddy Guy, John Mayall, The Fabulous Thunderbirds, Storyville(自分のバンド)その他多数のアーティストのツアーやレコーディングに参加してきました。
Hot Licksブランドから教則ビデオも発売されていて、HotLicks にありがちな整理の悪いビデオでしたが、彼のプレイはゴキゲンでした。
本書には著者が考えるよいソロを弾くためのヒントがまとめられていて、何より実際の演奏例がいいです。
短い例でもちゃんとバックにベース、ドラムが入っているものが少なくない点もいいですね。
覚えればおいしいネタが満載ですが、特に後半のUsing Open Strings、DoubleStops、Country Licks That Rock、Borrowingfrom Jazzといったチャプターが秀逸で、これだけを本当に使いこなせたらもう達人です。
本書の例に限らず、フレーズの中に細かいベンドをうまく入れるとソロの多様性がものすごく広がることなどにも気付いていただけたらと思います。
最後に4トラックある練習用のマイナス・ワンにしても、ごくシンプルなコンピングをしているだけなのにすごくゴキゲンに聞こえてしまうのはどうしてでしょう。
たぶん優れたプレイヤーのもっているグルーヴとこのテレキャスターのサウンドのせいでしょうかね。
タイトルどおりロック色が強いので、ブルース・プレイヤーだけでなくロック・プレイヤーにも、あるいはエレキをかっこよく弾きたい人全員にお薦めです。