DVD 76分
1993年にオーストラリアのソニー・ミュージック・ブランドから発売されたトミー初の教則ビデオのNTSC版DVDです。
ギター・プレイと同様、流れるような軽妙なトーク(笑)でテンポよく進行します。
まず弦の張り方とチューニングの仕方について簡単に説明、次に使用ギターのコレクションを紹介してくれるのですが、FenderCustom Shop、Takamineなどと共に、Matonをはじめとするオーストラリアのビルダーのギターが登場し、日本ではあまり馴染みがないだけに興味深いでしょう。
Maton のドレッドノート・タイプのギターを手に取りOpen-Cチューニングでプレイするのはフラットピッキング・チューンRun a Good Race。
Rhythm Guitar のコーナーでは体からノルことの重要性等を語り、ブルーグラス・スタイルやジャズ・トランペッターとのデュオによる高速のC-JamBlues のプレイなどが見れます。
ここでのハイライトはライブでも大いに盛り上がるGuitar Boogie の解説でしょう。
おもしろいのはスタジオでのアコースティック・ギターのプレイに引き続き、本格的なビデオクリップ風の映像に変わってエレクトリック・ギターでプレイします。映像ではドラムやベースまでトミーが弾いています。
お決まりの美女やダンサーなども登場するこのビデオクリップ風映像の趣向はその後の演奏曲も同様で、どうやら本作のために撮影されたもののようですが、ひょっとすると元々そういうビデオクリップが存在していたのかと思わせる出来栄えで、さすがにソニー。アメリカの一部の教則ビデオ・メーカーのチープな作りとは全然違います。
Melody Playing のコーナーでは、HeartsGrow Fonder とSilent Night を、Combining rhythm and melody ではInitiation を、
Lead Guitar ではDetermination を例にレッスンが進めます。
とりわけLeadGuitar ではロック、ブルース、カントリーなどのフィールで自在にソロを展開しており、くれぐれもみなさんはトミーをフィンガーピッカーとかアコギ・ソロの人なんてカテゴリーに押し込めないようにしましょうね。
クロマティック・スケールやアルペジオなどフィンガリング、ピッキングの具体的な練習材料を提供しているところもあります。
あまり細かい説明はなくてもさらっと弾いているところに非常に有益な情報があったりするので、各自で盗み出す工夫をしてください。
最後はStevieRay Vaughan をトリビュートしたStevie'sBlues のビデオクリップ風映像で終わります。この曲だけではなくトミーはエレクトリック・ギターはもっぱらテレキャスターを愛用しているようで、テレのサウンドがお好きな人にも気持ちの良い作品になっているのでひと言申し添えておきます。
現在のように教則ビデオが飽和状態の中で作られたものではなく、いかにもオーストラリアでトミーの最初の作品として製作されたという時代的、地理的背景を反映しているところはありますが、長いキャリアを持ちながら、世界に知られるのが遅すぎたスーパー・ギタリストのタイム・ギャップをいくらかでも埋めてくれる快作です。
なお画面上にフィンガーボード・ダイアグラムが表示されて、TAB譜の代わりを果してくれるところがあります。また、それとは別にオリジナルのビデオ版では印刷された小冊子として付属していたと思われる譜例が、DVD版ではPDFファイルとしてディスクに収録されています。こちらはパソコンで再生することで見れるわけですが、量的にはあまり多くなく、五線譜のみでTAB譜はありません。
収録曲:
1. Cold Shot
2. Determination
3. Guitar Boogie
4. Hearts Grow Fonder
5. Initiation - tribute to the Aboriginal people of Australia
6. Run A Good Race
7. Silent Night
8. Stevies Blues