DVD 61分
2000年にソロ・デビューし、アルバムも5枚ほど出ているみたいなので、新しい才能に目ざとい方ならよくご存知かもしれません。まだ20代のジョー・ボナマッサはブルース・ロックをベースにしたプレイヤーで、StevieRay Vaughan をアイドルに8歳頃までにはブルースを弾きこなし、10歳ではB.B. King のオープニング・アクトを務める早熟ぶりだったそうです。
写真で見ていた限りではかなり硬派でいかついイメージがあったのですが、このDVDを見るとよくハリウッドのB級映画なんかに出てきそうな地方の町のお兄ちゃん風で、しかも早口でよくしゃべること。またブルース・ロックだけではなく、どんなスタイルでも実に器用に弾きこなす様子はGregCoch の多彩さを思い起こさせます。DukeRobillard, Danny Gatton、RobbenFord らの大きな影響も挙げているらしいので、そのあたりから学んだのでしょうか。クリニシャン向きのプレイヤーですね。
ヴォーカルもかなりいい線いっているのはStevie Ray やEric Clapton のスタイルから来たものかもしれません。また名前を挙げていませんが、ギター・トーンやフレージングにはEric Johnson の影響かと思わせる部分がかなりあります。
さて本DVDでは、まずストラトキャスター、テレキャスター、レス・ポールと3つのギターを紹介する感じで、それぞれの特徴的なトーン、代表的プレイヤーとスタイル、テクニックを弾き分けるのですが、たいへん見応えがあって内容濃いです。
さらにRHYTHM、SOLOING、SLIDEGUITAR、EFFECTSとチャプターが展開します。譜例などは付属していませんし、ひとつひとつのプレイの具体的な弾き方を説明するような箇所もありませんが、見て栄養になる作品だと思います。
他に、プレイはほとんどありませんが、AMPS& SPEAKERS、AMPLIFIERBAFFLE、MICS& AMPSとして彼のイクィップメントの構成を解説しているコーナーにあります。
以上のようなことを頭に入れておいていただいた上で、私がこのDVDをご紹介するのに一番よい表現かなと思ったことを書いておきましょう。みなさんがたとえば楽器店か楽器フェアみたいな展示会に行ったときに、誰かすごく上手い人が試奏していたとしたら、じっくりその人の弾いている様子を見ていたいと思われるのではないでしょうか。本作はちょうどそんな願望を叶えてくれる感覚の内容で、最も一般的な人気ギターを用い、王道を行きながらも実に多彩なプレイを見ることができます。