DVD 70分
オールスター・ギターナイトの映像作品としては3作目で、2002年7月ナッシュヴィルでこのイベントの10周年記念として行われたコンサートの様子を記録したものです。これまでに発売されたものとは曲が重ならないように編集されています。セイモア・ダンカンのSeymour'sBlues のみ前作と重複していますが、演奏内容を考えるとまったく別の曲と考えてよいでしょう。
商品化されたものがすべてナッシュヴィルでのコンサートなのは、有名なRymanAuditorium で行われており、西海岸のホテルのホールで行われたものよりサウンドの条件がはるかによいからかもしれません。今回も参加ミュージシャンにはナッシュヴィル色が出ていますが、シリーズに初顔の人たち、特にアリソン・ブラウン、ベン・レイシー、パット・バーガソン、ジョニー・ハイランドらが見られるのはどなたにも楽しみではないでしょうか。
DVDに登場する出演者と演奏曲は以下のとおりです。ご参考までにお知らせすると、DVDに演奏の収録はありませんが、実際のコンサートではJunior Brown, Alex de Grassi, Ed Gerhard, Meagan Taylor らも出演していました。
収録曲:
* Muriel Anderson: Mr. Bojangles, A Bakers Dozen
* Phil Keaggy: County Down
* Ben Lacy: Sir Duke
* Richard Gilewitz: Wazamataz
* Muriel Anderson/Phil Keaggy: Two Shores
* Thom Bresh: Happy Again
* 2nd Nashville Guitar Quartet: Washington Post March
* Richard Smith, John Pell, Dave Pomeroy, and Danny Gottlieb: Honeysuckle Rose
* Suzy Bogguss, Muriel Anderson, and Jenai: Mister Sandman
* Alison Brown, M. Anderson, and Vassar Clements: Deep Gap
* Alison Brown: My Favorite Marsha
* Johnny Hiland: That's Alright Mama
* Seymour Duncan: Seymour's Blues
* Brent Mason: Baby's Coming Home
* Nokie Edwards: Alabama Jubilee
* Victor Wooten: Reminiscence
* Pat Bergeson, Danny Flowers and others: Mountains of Illinois
簡単にですが、特にポイントと感じたことを挙げておきましょう。
フィル・ケギーはCounty Down を普通に演奏した後、JamMan のサンプラー&ループ機能を使ってリアル・タイムでワンマン・オーケストラを構成し客席を大いに沸かせています。
セカンド・ナッシュヴィル・ギター・クァルテットは70年代に作られた企画アルバムThe Nashville Guitar Quartetの再現で、オリジナル・メンバーのジョン・ノウルズとジョン・ペルに加え、チェットの代わりにリチャード・スミスが、リオナ・ボイドの代わりにミューリエルが加わったというもの。
チェットの代表的なレパートリーであるMr.Sandman は、スージー・ボガスを中心にボーカル・ナンバーとして聞くことができますがとても味わい深く、私の場合一度聞いたら耳にこびりついて、その後毎日頭の中で鳴り続けていました。間奏のソロをリチャード・スミスとパット・バーガソンがプレイしており聞き所となっています。
A Bakers Dozen でのミューリエルはハープ・ギターを使用してギリシャ風の13拍子の曲を披露。
アリソン・ブラウンはブルーグラス・ファンなら誰もが知っているバンジョー・プレイヤーですが、ギタリストとしても一流でアルバムでもギター・インスト曲も披露しています。ここではミューリエルも挑戦するフラットピッキング・チューンと、フィンガースタイルの両方を見ることができます。颯爽としてかっこいい人ですよね。
ブレント・メイソンはゴダンのエレガットでチェットの曲をプレイ、ここでもミューリエルが加わります。なんといっても彼女はショーのメイン・パーソナリティーなのです。
最後のゴスペル・ライクな曲では一応パット・バーガソンがテーマらしきを弾くのですが、ソロはブレント・メイソン、ジョニー・ハイランド、ダニー・フラワーズ、セイモア・ダンカン、デイヴ・ポメロイが弾いています。
これで70分強のコンサートの様子が楽しめるのですが、実際にはもっと演奏してるはずなのでもうちょっと聞きたいなあ、という気はするかもしれません。実はうれしいオマケがありまして、まずスージー・ボガスの弾き語りが1曲ボーナスとして収録、またミューリエル、ダンカン、ノーキー、レイシー、ケギー、アリソン、ノウルズ&ペル、スミス、ハイランドのインタビューのコーナー(約27分)。
さらにミューリエル、レイシー、ケギー、アリソン、ノウルズ&ペル、スミス、ハイランド、バーガソンのレッスンのコーナー(約46分)がありこれがただならぬ見物であります。
ベン・レイシー本来のパーカッシヴなヴォイパならぬギタパは、コンサートでのSirDuke よりこちらのほうが楽しめます。奏法的にはスラップ&ポップ系のベースとほとんど同じですね。
ジョニー・ハイランドのパートはレッスンというよりは、ミューリエルと交代でソロをとるジャムで、ミューリエルのソロも含めこれもコンサート以上の見どころ。
パット・バーガソンはジャズ・インプロヴィゼイションをテーマにGブルースとAllOf Me を例にソロの例をデモ演していますが、軽くちょっと弾いてみましたという感じながら、ああ素晴らしい。コンサートではソロがあまり聞けなかったという欲求不満もだいぶん解消されました。
というわけで映像全部を合わせると約146分も楽しめるのです。これからもどんどん新作が出てほしいものですねえ。